学会活動は健康の王道、地域の強い絆は心臓病の抑制

学会活動は健康の王道、地域の強い絆は心臓病の抑制


 本質に迫る思想


 余談ですが、冠動脈が動脈硬化を起こし、詰まり
かかったり、詰まったりすることで狭心症心筋梗塞
起こります。

こうした病が起きる時の症状について、皆さんの中には、
胸が苦しくなって倒れるような場面を想像する方も
いらっしゃるでしょう。

しかし実際、動脈硬化が進んでいるのに無症状の人も
いるなど、自分で判断することは、なかなか難しいのが
実情です。

 実は心臓が悪くなった時、一番多く出るのは「息切れ」
です年のせいと思う方もいらっしゃるでしょうが、自分と

同世代の方と歩いたり、階段を上がったりという、
同じような行動をした時、周囲の人に比べて
息が切れやすいという方は注意が必要です。

心臓は、私たちの行動を支えるエンジンですが、そのエンジンが
弱っているために息切れしている可能性があるのです。

また、すぐに動悸がするという症状も、心臓からのサインかも
しれません。ともあれ、そうした違和感があれば、すぐに
受診していただくことをお勧めします。

 

その上で、私が興味深いと思うのは、仏典でも、そうした
症状についての記述があることです。

例えば、心臓の病の症状について、「天台小止観」では
「身体が寒くなる」「口が乾く」といった事例が挙げられています。

「身体が寒くなる」というのは、心不全の症状です。
もともと寒がりな人は別にして、心不全が重くなると、多くの方が
寒がることが分っています。

また、心臓が悪くなると、鼻ではなく、口で呼吸しがちになるので、
「口が乾く」ということも起こり得ます。

さらに、「摩訶止観」では「顔色が青くむくむ」と記されています。
実際、生まれつきの心臓病の子どもたちや、大人になって心不全
重くなると、こうした症状が出る方がいらっしゃいます。

こうしたことから考えると、仏法には人間というものを深く見つめ、
生命の本質に迫る思想が脈打っていると感じずにはいられません。

 

 友情結ぶ1人に

 心臓は、私たちがいきいきと活躍するための源ですが、その心臓は、
人間同士の強い絆があってこそ、健康に保たれます。

私は、この強い絆を、いかに育めるかという点が大切であると
感じます。

 強い絆といっても、周囲の人と友情を結ぼうとする「1人」が
いなければ、育んでいくことなどできません。

だからこそ、一人一人が、まさに心臓のように地域に希望を送り
続ける「1人」となっていく。それが自らの心臓を健康にし、

自らがさらに生き生きと活動するための源につながっていく
と思うのです。


 この好環境を生み出していくのが、創価の励まし運動であり、
そうした活動によって、因果倶時の法理のままに、自分自身の

生命に仏界の大生命を涌現していけることを教えたのが、
仏界の哲学なのではないでしょうか。

 日蓮大聖人は「浄(きよ)きこと、蓮華にまさるべきや」
(新1510・全1109)と仰せです。

泥沼の中でも高潔な美しさを失わない蓮のように、
現実社会の中で広布の使命に胸を張り、同志と共に
動きに動いて、皆が健康で生き生きと暮らせる社会を
築いていきたいと決意しています。


 小野 稔 1961年生まれ、東京大学医学部を卒業。
医学博士。創価学会東京(副ドクター部長。

 21022年7月8日(金)聖教新聞から転載